来月フリーランスからまた組織の中に戻るので、給与振込用に会社が指定した銀行の口座を作りにでかけました。
銀行の手前ではたと足を止め「あ、そういえば窓口は15時までだったな」と気づいて時計を見ると16時。ひ、酷い。
帰ろうとしたんですが、行内に置いてるパンフレットでも持って帰るかと思い、銀行に入った。
店内では窓口のシャッターが既に閉められていて、ATMコーナーで数人の客があくせく機械と格闘していました。さて、私は普通でいいだろ、と大きく普通口座とかかれたパンフを取って眺めていた。すると後ろからなにやら喧しい声が。
「オラー! 遅いんじゃボケーッ!」
ん?
「さっさとだせぇ言うんとんねん、コラァ!」
振り返ってみたが何故か誰一人見あたらず、声だけが窓口のシャッターの向こう側から聞こえていた。平和ボケなのか、その時の私は「ああ、変な客が無理にクレームでもつけに行って行員を困らせているんだろう」と相変わらずその後も、ノンビリとパンフレットを眺めていた。(その時私はスーパー普通預金という訳のわからないパンフを睨んでいた。)
私がパンフに夢中になっている間も相変わらず「さっさとしろっ!」「おい、動くな!」などなどの声を話半分に聞いていましたが、さすがにこうなると私の興味は声の主の方へ向き始め、周りの客も流石におかしいと感じたのか「…強盗?」と騒ぎはじめ、私も「ああ、そっか。これ強盗なのか」と初めて得心し相変わらずノンキに構えていた。
いろいろと面倒な事になりそうだったので、いち早く銀行をでようと足を伸ばすと私の近くにあったドアが開いた。驚いてそちらを見ると、そこから眼鏡を掛けた五十過ぎくらいの行員が、にょろりと出てきてこう叫んだ。
「みなさん!これは防犯訓練です!ご安心ください、これは訓練です!」
な、なんだってー!?
なるほど、確かに銀行の出入り口に「只今防犯訓練中」とかかれた立て看板が置いていた。みねーよ!
他の客も看板を見てなかったのか随分と驚いた様子であったが、訓練だと知ると再びATMに向かって、叩いたり引いたり出したりしていた。
一目散に銀行を出るとついでに本屋に寄って物色した後、帰路についた。
さて、この一連の出来事によって、私がパンフを持って帰るのを忘れても仕方の無い事ではないだろうか?
そう信じたい、今は。